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観光・イベント公開日: 2026年8月3日

バリの伝統的漁船「ジュクン」が消えていく――観光開発が変えた海岸文化

バリ南部の海岸に並んでいた伝統的な木造双胴船「ジュクン・プラサン」が、観光開発や漁業の衰退により姿を消しつつある。調査では現存する木造船はわずか6艇のみ。観光客向けにはガラス繊維製のレプリカが使われている。

かつてバリ島南部のブノア、ヌサドゥア、サヌールの海岸には、色鮮やかな伝説の生物「ガジャ・ミナ(象の頭を持つ魚)」の彫刻が施された木造双胴帆船「ジュクン・プラサン」が並んでいた。これらは単なる漁船ではなく、地域社会の宗教的・文化的な生活の中心であった。

オーストラリア国立大学の研究者による調査(国際航海考古学誌に掲載)によると、現在海岸で確認された無傷の木造ジュクン・プラサンはわずか6艇のみだという。1970年代から80年代にかけてバリの観光産業が拡大するにつれ、伝統的な漁村があった海岸沿いにホテルやリゾートが建設され、多くの漁師が観光業へ転職。船体に使う木材の伐採地はリゾート開発で失われ、アウトリガーに使う竹も入手困難・高価になったため、伝統的な修理・建造方法自体が維持できなくなっている。

サヌールで取材を受けた退役船大工は「もう誰も漁をしないので、木造漁船の需要がない」と語った。元漁師の一人は現在、観光客向けに日の出クルーズを行うガラス繊維製のレプリカ船を操縁しているという。

姿を消した木造船の一部は海外のコレクターに売却され、ダーウィンの博物館やシアトルのバーク博物館、中国・寧波の研究機関などに保存されているが、本来の意味を持つ地域社会からは切り離されている形となる。

2025年、バリは国内観光収入の55%を生み出し、観光は島のGDPの約60%を占める。この経済的繁栄の一方で、海岸の変化は残された漁業コミュニティにさらなる圧力を与えている。研究者は、船そのものの保存だけでなく、木材の選定や船体の形成、方位の読み方といった技術・知識の継承も重要だと指摘している。

考慮すべき事項

サヌールやヌサドゥアなどでガラス繊維製のレプリカ船による日の出クルーズを利用する際は、それが伝統的な木造船文化の代替であることを理解し、現地ガイドやオペレーターに伝統的なジュクンの歴史について尋ねてみると良い。バリの海洋文化遺産に関心がある場合は、地元の博物館や文化施設を訪れ、現地コミュニティが運営する体験型ツアーを選ぶことで、伝統技術の継承を支援する消費行動につながる。

情報源: Scroll.in