バリ島の両替商、デジタル化へ ― マネーロンダリング対策で監視強化の動き
インドネシア全土の非銀行系両替商(money changer)の約半数が依然手書きやExcelで取引を記録しており、マネーロンダリング対策の抜け穴になっていると指摘されている。バリ島は両替商が集中する地域として「高リスク地域」に挙げられており、当局による抜き打ち検査や規制強化が進んでいる。観光客や在住者が日常的に利用する両替所の運用が今後変化する可能性がある。
何が起きているか
インドネシア銀行(Bank Indonesia)のデータ(2026年9月時点)によると、認可を受けた非銀行系両替商(KUPVA BB)955社のうち約49%が、台帳や別々のワークシート、Excelなど手作業で取引を記録している。複数支店を持つ業者でも、本店と支店のシステムが連携していないケースが大半だという。
金融取引報告分析センター(PPATK)が2026年8月に公表した「国家リスク評価(NRA)2026」では、両替商セクターが銀行や公証人、不動産仲介業者と並び、監視強化が必要な分野として挙げられた。高リスク地域にはジャカルタ首都圏とバリ島が含まれており、いずれも両替商が集中するエリアである。
具体的な懸念点
記録が支店間で連携していないと、同一人物が複数支店で取引を小分けにして報告義務の閾値を回避する「ストラクチャリング(構造化)」という手口が発見しにくくなる。PPATKはバリでの調査で、裏付け書類のない高額な外貨取引や、従業員個人口座の業務利用、暗号資産企業との不審な取引などを確認したとしている。
2026年6月からは、インドネシア銀行が書類提出が必要となる現金外貨購入の上限を、1カ月あたり1人5万米ドルから2万5千米ドルへ引き下げた。ただし、この「月間・1人あたり」の規制は、支店をまたいだ取引を合算できて初めて実効性を持つため、手作業での記録管理では限界があるとされる。
観光客・在住者への影響
バリでは今年に入り、汚職事件やマネーロンダリング疑惑に関連して両替商への家宅捜索が行われた事例も報告されている。今後、規制強化や本人確認の厳格化(大口の現金両替時の書類提出要求など)が進む可能性があり、両替所での手続きが従来より時間を要したり、書類提示を求められたりする場面が増えるかもしれない。
考慮すべき事項
大口の現金両替(目安として月間2万5千米ドル相当以上)を行う場合は、資金の出所を示す書類(送金明細、出金記録など)を事前に準備しておくと手続きがスムーズになる。パスポートや身分証の提示を求められることを想定し、必ず携帯すること。また、認可を受けた正規の両替商(BIの認可リストに掲載された業者)を利用し、レートが不自然に良すぎる無認可の両替所は避けること。高額取引の際は領収書・取引明細を必ず受け取り保管しておくと、後日のトラブル回避に役立つ。
情報源: Kompasiana.com