バリ島のホテル業界、供給過剰で価格競争激化 地域差が鮮明に
バリ島のホテル・建設セクターへの投資と融資が急拡大する一方、外国人観光客数の伸びは鈍化しており、供給過剰による需給の不均衡が懸念されている。地域や価格帯によって明暗が分かれ、サヌールは好調だがウブドやクタなどは需要低迷に直面している。
インドネシアの経済メディアKompasの報道によると、バリ島のホテル・観光産業は表面的な経済成長の陰で複雑な課題を抱えている。ホテル投資顧問会社PT Hotel Investment Advisory(HIA)のシニアコンサルタント、ロス・ウッズ氏による最新調査では、バリはもはや単一の市場として捉えられないほど地域ごとの差が広がっていると指摘されている。
2026年第1四半期、外国人観光客数の伸びはわずか1.04%(前年同期比)で、前年の7.95%から大きく減速した。一方でホテル・飲食セクターへの融資は15.86%増、建設セクターへの融資は11.08%増と急拡大しており、部屋数の増加ペースが需要の伸びを上回る「不均衡」が生じている。インドネシア中央銀行(BI)も2026年の成長見通しの上限を下方修正した。
地域別では、サヌールが供給と需要のバランスが良好な状態を維持している一方、ジンバラン・ペチャトゥ・ウンガサン地域は新規プロジェクトの集中による将来リスクを抱える。チャングー・スミニャックやヌサドゥアは弱含みの兆候を見せ、クタ・レギアンは新規供給問題ではなく「需要そのものの低迷」に苦しむ。ウブドは高い宿泊料を維持しながらも実際の稼働は大きく落ち込んでおり、2027年にかけての高級ホテル新規供給がさらなる圧迫要因となる可能性がある。
また、宿泊料(ADR)の上昇が必ずしも回復を意味しない「見せかけの回復」現象も指摘されている。稼働率が落ちても料金を上げることで収益を維持しようとする動きが、実際の販売室数の減少を覆い隠しているという。
観光客の国籍構成にも偏りが強まっている。オーストラリア市場は6.2%増と好調で、バリ観光の「大黒柱」的存在になっているが、マレーシア(-11.0%)、英国(-6.5%)、韓国(-5.2%)、インド(-4.4%)は減少傾向にある。中国市場は12.6%増と予測されるものの、フライト政策や経済動向によって変動幅が大きい。
HIAのシミュレーションでは、地政学的緊張や燃料価格上昇などの悪条件が重なる最悪シナリオの場合、ウブドの平均稼働率は47.7%、ジンバランは50.6%、バリ地方部全体では32.5%まで落ち込む可能性があるとしている。
考慮すべき事項
ホテルやヴィラの供給過剰は観光客にとって選択肢の増加や価格競争による割安な宿泊料につながる可能性があるため、予約時は複数エリア・複数施設の料金を比較すると良い。特にクタ・レギアンやウブド、バリ地方部では需要低迷を背景に交渉の余地がある場合がある。長期滞在者・投資検討者は、稼働率や需給バランスがエリアごとに大きく異なる点を踏まえ、安易に「バリの知名度」だけで物件購入や投資を判断せず、具体的な地域データと将来の新規供給計画を確認することを推奨する。
情報源: Bali Discovery | News on Bali Tourism & Life Since 1998