バリ島チャングーで地価高騰と外国人長期滞在者急増、地元住民との軋轢が深刻化
バリ島南西部のチャングーでは、デジタルノマドや外国人投資家の流入により水田が消え、建設ラッシュと地価高騰が進んでいる。2026年7月には外国人主催のランニングイベントを巡る差別疑惑でオランダ人2人が入国禁止処分を受けるなど、地元住民との摩擦が表面化している。専門家は、地元住民が住居や雇用から締め出されるリスクを指摘している。
バリ島南西海岸のチャングーは、デジタルノマドに最も人気のあるエリアの一つとして知られる。おしゃれなレストラン、ヨガスタジオ、コワーキングスペースが立ち並び、かつての漁村の面影はほとんど残っていない。至る所で建設工事が進み、クレーンや掘削機が稼働する中、新たなプロジェクトが進むたびに水田は姿を消している。
主に欧州、ロシア、オーストラリアからの長期滞在者の増加により、地元住民の不満は募っている。ある地元ホテル従業員は「ここ数年で全てが変わってしまった。私たちの自然、愛した風景は、裕福な投資家に土地が売られていく中で消えつつある」と語る。
変化は約10年前から急速に加速し、狭い路地の続く漁村が世界的なデジタルノマドの拠点へと変貌。交通渋滞、騒音、ゴミの山、建設ラッシュが日常化した。ヘルメットなしでレンタルスクーターに乗る外国人観光客の姿も、地元住民の反発を招く一因となっている。
2026年7月には、チャングーで「アントラージュ・バリ」という国際的なランニンググループを運営していたオランダ人2人が、必要な許可を得ずにイベントを実施したとして入管当局からインドネシアへの再入国禁止処分を受けた。同グループが企画した「サイレントディスコラン」イベントで、インドネシア人女性が登録を拒否された一方、その外国人の夫は問題なく登録できたとの訴えが地元住民の強い反発を呼び、国際的にも報じられた。
観光アナリストのヒルダ・アンサリア・サブリ氏は、地方政府に対し外国人が現地のルールや伝統を軽視する場合はより毅然とした対応を取るべきだと訴える一方、外国人中心の閉鎖的なコミュニティが形成され、長期的に地元住民が居住地域や雇用機会から締め出されることへの懸念も示している。
ウダヤナ大学のイ・プトゥ・アノム教授(観光学)は「地元の人々が平穏な生活を送れなくなってしまっては、多額の外貨収入を得ても何の意味もない」と指摘。最も深刻な問題として、土地・不動産価格の急騰により、多くのバリ島民にとって地元での住宅取得が困難になっている現状を挙げる。
考慮すべき事項
バリ島、特にチャングーやウブド、ウルワツなどの人気エリアに長期滞在する場合は、地域の慣習・ルールを事前に調べ、公共の場での服装や振る舞いに配慮する。イベントやコミュニティ活動を主催・参加する際は、現地の許認可要件を確認し、差別的な運営にならないよう注意する。不動産取得や賃貸契約を検討する場合は、必ず現地の弁護士や公認不動産業者を通じて合法性を確認し、外国人の土地所有制限(HGB権など)についても事前に理解しておくこと。
情報源: トラベルボイス(観光産業ニュース)